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犬が吐いたら慌てず冷静に対処しよう
犬が吐くと、心配になり、病院に連れて行くか判断が難しい場合もあります。とくに、昨日まで元気な様子だったにも関わらず、犬が突発的に吐くと動揺する方もいるでしょう。
犬が吐く原因はさまざまです。一時的に吐くケースもあり、様子をみて済んでしまうこともあるため、過剰に不安を抱える必要はありません。
一方で、犬が吐いた状況によっては、病気が原因で吐いているケースもあるので、その場合は動物病院で早急な処置が必要です。
犬が吐いたら、慌てず冷静に犬の様子をチェックしてください。具体的にチェックすべき見極め方や対処法について解説していきます。
犬が吐く原因は何が考えられるか、吐いたものをチェックしよう
犬が吐くときの原因を探るためには、まずはじめに吐いたものをチェックすることが大切です。以下の内容と照らし合わせながら、チェックしましょう。
未消化のドッグフード
犬は早食いや食べすぎによる消化不良などで、フードを吐くことがあります。このような場合、「嘔吐(胃の内容物を吐いてしまう)」か、「吐出(胃に入らず口や食道にあるものを吐き出す)」の2種類に分かれます。
フードの形が残っているような未消化のフードを吐いた場合は、吐出の可能性があります。とくに吐出の場合、頻回に起こるケースでは食道の病気にかかっている可能性もあるため、動物病院を受診しましょう。
また、フードの粒が大きすぎると、未消化になる可能性があります。この場合は、粒の小さいフードへの変更をおすすめします。
毛玉
犬自身や飼い主の毛、カーペットの繊維などを飲み込むと、毛玉として吐くことがあります。
とくに、秋から11月頃、そして春から7月頃にかけて年に2回ある換毛期(犬の毛が生え替わる時期)は犬の毛が抜けやすいため、毛玉を吐くリスクが高まる場合があります。
対策として、定期的にブラッシングをしてあげたり、お掃除をこまめにすることが効果的です。
黄色い液体・泡
犬のおなかが空きすぎると、胆汁(たんじゅう)が胃に逆流し、胃を刺激して胆汁に含まれる色素により黄色い液体・泡が出る場合があります。
とくに、空腹で胃が空っぽになっている早朝や夕方にみられる症状であり、胆汁嘔吐症候群と呼ばれています。
対策として、食事の回数や空腹の時間を調整することが大切です。
たとえば、早朝に吐く場合は寝る前に少量のフードを与えたり、夜の食事時間を遅らせて調整しましょう。
透明の液体・白い泡
犬が水を飲みすぎたり、空腹になったり緊張したり興奮すると、透明の液体・白い泡を吐く場合があります。透明の液体・白い泡は水や唾液・胃液の可能性が高いです。とくに、夏の猛暑日に散歩に行くと、水を必要以上に飲みすぎる可能性があります。
水を飲ませるときは、少ない量をこまめに給水させるようにしましょう。また、白い泡を吐くときは、緊張や興奮で唾液が過剰に分泌され、吐き気を催すケースがあります。
空腹により吐く場合の対策として、いつものドッグフードを与え、空腹状態を改善してあげることが大切です。
茶色い液体
犬がフードの色に似た茶色い液体を吐いた場合、消化されていないフードを吐いた可能性があります。元気があり、食欲がある場合は一時的なものであることが多いため、それほど心配する必要はありません。
一方で、血液が酸化して変色した茶色い液体の場合は、急性胃炎や胃潰瘍などなんらかの疾病の可能性があるため、動物病院を受診しましょう。
血液が混じった赤い液体
犬が血液が混じった赤い液体を吐く場合、呼吸器や消化器などに問題が起きている可能性があります。
たとえば、呼吸器・上部気道からの出血や胃腸の腫瘍・胃炎・胃潰瘍などの疾患によって、呼吸器・消化管が出血して血が混じるケースがあります。
放置すると、重篤化する可能性があるため、速やかに動物病院を受診してください。
その他
・誤食:犬は日常生活を送るなかで、誤っておもちゃやペットシーツ、草花などを飲み込んでしまう場合があります。その結果、腸閉塞や中毒を引き起こすことも考えられます。
異物を飲み込んだ場合、腸が閉塞して(腸閉塞を起こし)、嘔吐の他に便秘や下痢、食欲不振などの症状が起こるケースもあります。
とくに串・肉の骨やヘアピンなどの尖ったものを飲み込むと、消化管に刺さって激しい腹痛が起こる可能性があるため、日頃から室内を清掃しておき、誤食防止に注意することが重要です。
上記以外には、熱中症や食物アレルギー、ストレスなどの要因で吐くことがあります。
犬が吐いたときの危険なサインと対処法
犬が吐くときに、次に当てはまるサインが見受けられる場合は以下の応急処置を実践し、必要に応じて動物病院を受診してください。
繰り返し吐く
犬が1日に何度も吐く場合、膵炎や消化不良などの内臓疾患や消火器疾患などを起こしている可能性があります。また、重篤な疾患にかかっている可能性もあるため、より注意深く観察することが大切です。
吐く回数が多くなると脱水が悪化し、衰弱する可能性があります。しかし、お水を飲ませると、かえって反射的に吐くことにつながるため、繰り返し吐く場合は、速やかに動物病院を受診してください。
吐こうとしても吐き出せない
犬が繰り返しえずいている場合、腸閉塞や膵炎などの可能性があります。また、胃拡張(いかくちょう)・胃捻転症候群(いねんてんしょうこうぐん)になるとおなかが膨らみ、吐きそうで吐かないといった様子になります。
いずれの場合も、処置が遅れると命に関わるおそれがあるため、速やかに動物病院を受診しましょう。
吐いたあとに元気がない
犬が吐いたあと、一定時間経っても元気がなく食欲不振になっていたり、ぐったりして動きたがらなかったりしていないかを確認してください。
場合によっては、膵炎や急性胃捻転などの緊急を要する疾患にかかっている可能性があるため、上記に該当する場合は速やかに動物病院を受診しましょう。
下痢の症状が出ている
犬が吐いたときに下痢の症状がみられる場合は、膵炎や胃腸炎、食物アレルギーやウイルス性疾患などが疑われます。
放置すると、ショック状態に陥る可能性があるため、注意深く犬の様子を観察してください。
嘔吐と下痢が1回のみの場合や、下痢をしたあと元気な様子で食欲がある場合はしばらく様子をみても良いでしょう。
一方で、食欲や元気がない状態が続く場合は、速やかに動物病院を受診する必要があります。
犬が吐いたあと動物病院を受診するとき
動物病院を受診するときは、以下の情報を獣医師に伝える必要があります。伝える内容・伝え方(例)含め、事前にチェックしておきましょう。
上記を伝えると、より正確な診断がしやすくなるため、しっかりと情報を伝えるように心がけましょう。
伝えるべき内容 | 伝え方(例) |
どのようなものを吐いたか (異物は混ざっていないか) | 犬が吐いたもののなかに、血液が混じった赤い液体が含まれていました。 |
どのような吐き方をしていたか | 吐きたいのに吐けないような様子が続いていました。 |
吐いた回数 | 1日に5回以上吐いていました。 |
いつから症状が出ているか | 今朝から繰り返し吐いています。 |
最後に食べた食事からどのくらい時間が経っているか | 昨日の夜が最後なので、10時間ぐらい経っていると思います。 |
吐く以外に起きている症状 (下痢や血便、発熱や食欲不振、咳など) | 食欲がなく、朝のフードも食べようとしませんでした。昨日から下痢の症状も出ています。 |
普段と違うドッグフードやおやつを与えていないか | フードが原因かと考え、いつもと違うものを与えましたが、それでも食べようとしませんでした。 |
まとめ
犬が吐くときには、さまざまな理由があります。嘔吐以外の症状がなく、吐いたあとも元気で食欲があれば様子をみても良いでしょう。
一方で茶色い液体や血液が混じった赤い液体などを吐いたり、食欲や元気がなく、水を飲むだけで吐いたりする場合は速やかに動物病院を受診してください。
また、犬のフードを選ぶ際は、消化に良いものやフードの粒サイズが犬に合っているものを選ぶことをおすすめします。
動物病院に行くべきか判断がつかない場合は、まずは電話等で相談してください。犬の直近の様子や吐いたあとの状態などを伝えると、対処法が判断しやすくなります。大事な犬を守るために、焦らず冷静に対応しましょう。