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肥満になるとかかりやすい病気とは
犬が肥満になると、糖尿病や高脂血症、甲状腺機能低下症、クッシング症候群や膵炎などを発症する原因となります。また、体重が増えることで関節や脚に負担がかかり、ヘルニアや脱臼を起こすことも。肥満には大きなリスクが伴うため、日々の健康管理に気を配っていきましょう。
ダイエットを始める基準やタイミングって?
ここでは、ダイエットを始める判断基準について解説します。
体型を数字で表すボディ・コンディション・スコア(BCS)
犬にとってちょうどいい適正体型とは、いったいどんな体型なのでしょうか?太りすぎず痩せすぎず、適度に引き締まった犬の体型は健康的です。下記のボディ・コンディション・スコアを参考に、現在の愛犬の体型を確認してみましょう。
<参考>
ボディ・コンディション・スコア(BCS)のチェック手順
愛犬の体型がどのような状態かを確認するチェックポイントは5つ。まずは見てチェック、そしてやさしく触れながらチェックしてあげてください。
愛犬の体型がどのスコアに当てはまるかを確認することでダイエットの必要性を判断するヒントになります。
- 愛犬を横から見て、ウエスト部分にきゅっと上がったようなくびれがあるのが理想的です。
- 愛犬を真上から見て、ウエスト~腰にかけてなめらかなくびれがあるのが理想的です。
脂肪がつき、寸胴やふくらんでいるように見えたら体型管理が必要になることも。 - 肋骨部をやさしくなでて、骨の突起が確認できれば問題ありません。厚い脂肪に覆われて確認できない場合は注意が必要です。長毛種は皮膚に近い部分で確認してください。
- ウエスト~腰にかけてやさしく触り、くびれを感じることができるのが理想的です。
- 腰の上部分に触れながら腰骨の浮き具合を確認し、適度に感じることができるのが理想的です。ゴツゴツと飛び出ていたり、反対に、まったく触れないようであれば注意が必要です。
BCS以外にも、抱き上げた時に以前より重く感じる・動きが緩慢になったなど、日ごろの仕草やちょっとしたきっかけで気づけるようコミュニケーションを取りましょう。
犬は食欲旺盛!太る原因とその対策
犬はなぜ与えられただけ食べてしまうのか、どうして食べるのが早いのか。犬の習性などの例を挙げながら解説していきます。
犬が「満腹」を感じにくい理由
犬は人間や他の動物ほど脳の満腹中枢が機能していないので、満腹状態感を覚えにくい性質があります。そして、とても大きな胃を持っているため食べ物を食い溜めするという習性があり、お腹いっぱい食事を食べて満たされたとしても「もっと」と要求します。愛犬の要求に応じ続けていると、肥満になり身体を壊すきっかけになりますので、きちんと食事管理することが必要です。
早食い、丸飲みを防ぐには
犬の食事が早いことと、なぜ咀嚼しないで丸飲みしてしまうのかという理由は、犬の祖先が狼であることと関係があります。狼は自らが狩りで獲物を獲る生き物のため、他の動物に獲物を奪われないように常に急いで食べていたと考えられています。その習性が本能として犬にも備わっているようです。
肥満につながりやすい早食いと丸飲みを防止するには、ごはんへのひと工夫が効果的です。
<ひと工夫の一例>
- ドライフードをお湯でふやかす
- 犬用のスープにフードを入れる
- 早食い防止の突起がついたフードボウルを使用する
また、少量ずつ飼い主さんの手からごはんを与えるというのも方法の一つです。時間はかかりますが、早食い防止には非常に効果的です。愛犬にとっても大好きな飼い主さんとの嬉しいコミュニケーションタイムになりますので、時間に余裕のあるときに試してみてはいかがでしょうか。
食べる量のコントロールはできる?
あればあるだけ食べてしまう性質を持つ犬ですが、飼い主さんのサポートによって食べる量を調整することは可能です。満腹中枢が満たされにくい犬は、1回の食事で満足することはほぼありません。そのため1回の食事の量を何回かに分けて与えれば、何度もごはんをもらえているという意識になり「1度にたくさん食べなくても何度もごはんをもらえるんだ」と安心し、理解するようになります。
食事内容を見直すダイエット方法
食べることの制限を緩め、フードの見直しや食事方法の工夫について考えていきます。
フード選びのポイント
体型や体重が気になる愛犬に適したフードは、代謝エネルギーに配慮され、低脂肪設計で食物繊維を豊富に含んだものが理想的です。極端に脂質の高いフードは嗜好性に優れていることが多いため、犬が好んで過食しやすく肥満につながるリスクが高いので注意しましょう。食物繊維が豊富に含まれたフードは、犬の満腹感を得られやすく食べすぎ防止に役立つだけでなく、腸内環境の健康維持を助ける働きがあります。便の状態が気になる愛犬にもおすすめですので、フードを選ぶ際の参考にしてみてくださいね。
咀嚼することを教える
「ドライフードを噛まずに丸飲みし、吐き戻してしまう…」
そんなお悩みを持つ方も多いのではないでしょうか。個体差はありますが、フードを噛まずに丸飲みする犬は多く、せっかく食べたフードを嘔吐してまた食べようとする、なんてことも。そのような場合は、愛犬の口や歯にフードの粒サイズが合っているかを見極めることが大切です。体が小さいからと極小サイズの粒を食べさせて丸飲みにつながることもありますので、うまく咀嚼できる粒サイズを探してあげましょう。
また、しっかりと歯を使って噛むことを教えるために歯磨きガムや骨系のおやつを使用するのもおすすめです。がりがりと噛むことで歯の力が強くなり、歯周病などの予防にもつながります。
愛犬の歯や歯ぐきの状態に合わせたものを選んであげてくださいね。
楽しく運動するダイエット
強制的な運動は愛犬にとってストレスとなり、長くは続きません。
楽しみながらできる遊びやお散歩などで無理のないダイエットを長く継続させるヒントをご紹介します。
毎日の散歩で意識すること
ダイエットをはじめる愛犬にとって、毎日の日課である散歩は絶好の機会です。愛犬が好むコースや勾配のある道をアスレチック感覚で歩いたり、おもちゃを使って遊びながら散歩を楽しんだりと、「散歩は楽しいもの」と感じてもらう工夫を取り入れてみてはいかがでしょうか。
また、散歩中に愛犬が立ち止まってくんくんとにおいを嗅いでいるときは、情報を収集している大切な時間。エネルギーを消費しながら脳が刺激され、ストレス発散にもつながりますので、早く歩かせようと急かさずに付き合ってあげましょう。
ながら遊びで無理なく運動
ダイエットを成功させる近道は楽しむこと。
「1日2回、1時間以上は歩かせる」「この距離はダッシュさせなければ」などときついノルマを課してしまうと、飼い主さんにも犬にも負担がかかってしまいます。強制的な運動はストレスになることがありますが、遊びを取り入れた運動であれば楽しみながら無理なく行えます。
洗濯物の山におやつを隠して探させるなどの知育遊びや市販の知育トイ、愛犬と一緒に遊べるアトラクションなどを活用し、ダイエットを楽しみましょう。
愛犬とのコミュニケーションを密にする
愛犬にとって飼い主さんとの時間は非常に大切なものです。
信頼関係が深いほどコミュニケーションを求めてきます。愛犬がじゃれてきたり遊びに誘ってきたら全力で誘いに乗ってあげてください。飼い主さんと過ごす時間の中で愛情や絆を感じられることが愛犬の喜びとなり、活動意欲が高まることにつながります。
成功のカギはストレスフリーなダイエット
ストレスが溜まりやすいダイエットを乗り越えるコツと、いかに無理なく地道にダイエットを継続していけるかを考えていきます。
太っている原因について理解する
愛犬の肥満が気になる場合、根本的な原因がどこにあるのかを探りましょう。自分ではそれほどおやつを与えていないつもりが、知らないところで家族が沢山おやつを与えていたというのはよくある話です。また、多頭飼育の家庭では他の犬の分もごはんを食べていた、なんてことも。食習慣や持病、年齢、犬種の特性、ストレス、運動不足など、あらゆる可能性から原因を見極めることが必要です。
正確な適正体重を知り、愛犬にとって相性の良いダイエット方法が何かを知るためにも、まずは獣医さんに相談してみましょう。
ダイエット時の注意点
愛犬のダイエットをはじめる際、結果を求めるあまり急激に食事量を減らしたり、激しい運動をさせるような極端な行動は避けましょう。自己流のダイエットで愛犬が体を壊してしまったら元も子もありません。人間と同様、無理なダイエットは続きません。ストレスを感じずに長く続けられる方法を探っていきましょう。
まとめ
さまざまな病気を引き起こす原因にもなる肥満。うちの子はぽっちゃりしているくらいが可愛いから…と、肥満を甘く見ていると取り返しのつかないことになるかもしれません。愛犬の適正な体型・体重を知るための定期的な健康診断や日頃のチェックで防ぐことができますので、少しでも気になった方はぜひ肥満防止に取り組んでみてくださいね。