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犬の口が臭う原因
犬の口臭の原因は大きく分けて3つあります。
- においの強いペットフードを食べた場合のような外的要因による口臭
- 鼻づまりなどで常に開口呼吸をすることなどから乾燥が原因となる生理的口臭
- なんらかの疾患により起こる病的口臭
これらの中でも、最も多い病的口臭を引き起こす病気の種類、症状、原因を紹介します。
歯石や歯周病(歯根膿瘍)
食べかすを餌にして増殖をした細菌の塊を歯垢(プラーク)といいます。この歯垢が石灰化して固まったものが歯石です。犬は人間よりも歯が10本多く、特に小型犬は小さい口内に歯が詰まっていることから、歯垢が溜まりやすくなります。歯垢が歯の表面や、歯と歯の間に付着した状態が続くと、歯周病の原因になります。
歯周病は口臭以外にも、歯根の炎症によって膿が溜まり、目の下が腫れる歯根膿瘍(しこんのうよう)を引き起こしたり、心臓、腎臓、肝臓に重篤な影響を与えたりすると考えられています。 歯垢や歯石が溜まっている場合、根元を中心とした歯の表面が茶色くなり、歯肉の炎症を伴っていることがあります。犬とのコミュニケーションも兼ねて、歯の状態をチェックしてみましょう。また、歯が抜けた、ぐらついているといった症状が見られる場合も、歯周病の可能性があります。
不正咬合
歯の咬み合わせが適正でないことを不正咬合(ふせいこうごう)といいます。原因としては遺伝や、乳歯が抜け落ちずに残ってしまう乳歯遺残が挙げられます。歯磨きをしづらいことから、口臭や歯周病を招くこともあります。
口腔内腫瘍
良性腫瘍と悪性腫瘍の2つがあります。悪性腫瘍の場合、腐敗臭のような臭いを感じ取れるでしょう。口臭以外にもよだれ、口内の出血、痛みによる食事量・食べ方の変化、嚥下困難などの症状・様子が現れます。
内臓疾患
・すっぱいにおいを感じる場合
胃腸の不調の可能性があります。胃炎による胃酸過多がすっぱいにおいを引き起こすこともあるので、嘔吐など、他に気になる症状がないかよく観察しましょう。
・便の臭いの場合
ひどい便秘や腸の捻れ、腸閉塞の可能性があります。重篤な症状が出る前に、獣医さんに相談しましょう。
・アンモニア臭の場合
腎臓や肝臓に不調を抱えている可能性があります。おしっこなどの排泄がきちんとされているかも併せてチェックしましょう。
家でできる予防と対策
口臭が発生したり、病気になったりしないよう、普段から予防を行うことが重要です。コミュニケーションも兼ねて口腔環境をチェックしつつ、できれば毎日欠かさずデンタルケアを行いましょう。
歯磨きをする
一般的に、3歳以上の8割は歯周病にかかっているといわれています。かかる犬の割合が非常に多い病気ですが、日々のケアで防ぐことも可能です。犬の歯垢は3日から5日で歯石になることから、歯磨き以外のデンタルケアは毎日、歯ブラシを使った歯垢の除去は3日に1回程度行うことが理想です。
歯ブラシやペーストは、犬用に作られたものを使用しましょう。歯ブラシの毛幅は切歯2本分のものが目安です。歯ブラシをおもちゃ代わりにすると、歯磨きの時間が遊ぶ時間になり、おとなしくしてもらえなくなるので注意しましょう。
歯磨き以外のデンタルケア
歯ブラシが無理そうな場合、補助グッズを取り入れるのも有効です。簡単に始められるデンタルケアとして、噛むおもちゃや、歯磨き用のおやつがあります。飼い主の指に巻き付けて使う歯磨きシートや、ガーゼを巻いて歯や歯茎を掃除し、触ることに慣れてもらうのもいいでしょう。また、特に具合が悪くなくても定期的に動物病院を受診し、歯の様子も一緒に見てもらうと安心です。
動物病院へ行くべきケース
どれだけ予防や対策をしても、口臭が発生してしまうことがあります。原因を家で取り除くことができない場合は、動物病院へ行きましょう。
病気のケース
病気の場合は、動物病院へ連れて行き、獣医さんの指示に従って必要な治療を行います。その際に、いつ頃からどのような症状が見られるかをまとめておくと、診察がスムーズになるでしょう。加入しているペット保険にもよりますが、多くの保険商品は歯周病、口内腫瘍、内臓疾患の治療を補償対象にしています。
歯石除去が必要なケース
こびりついた歯石は家で取り除くことができません。取り除くためには動物病院に行き、歯石除去(スケーリング)を行います。一般的には、麻酔を使用したうえで歯石除去を行います。無麻酔を掲げている動物病院もありますが、犬が動いて歯の裏や根本の歯石を取り除けないケースもあります。麻酔を使用するかどうかは、体質や年齢を考慮し、獣医さんと相談して決めます。
なお、歯石除去のように予防や美容を目的とする治療は、ペット保険の対象外になる可能性があります。動物病院に行く前に、保険の対象範囲を見ておくことをおすすめします。
まとめ
犬の口臭と病気は密接に結びついています。犬は自分でデンタルケアを行ったり、病気を訴えたりすることができないので、飼い主さんが気づいてあげることが大切です。コミュニケーションを兼ねて普段からしっかりと観察し、必要に応じて動物病院に相談をしましょう。