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猫の肥満の見分け方
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出典:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康を守るために~」
猫が肥満かどうかを見分ける目安として有効なのが、ボディコンディションスコア(BCS)です。
BCSは獣医療において、最も一般的な脂肪蓄積の指標として使用されています。猫が肥満かどうかを判断するための正しい判断基準であり、肥満の場合、理想体重の設定にも活用できます。
猫が肥満になると、病気のリスクが高まり寿命への影響が懸念されるため、BCSを上手に活用することが重要です。
また、猫の肥満の兆候についても知っておくことが大切です。常に空腹状態になっていたり、運動量が減少したりしていると、肥満の可能性があります。
急激に体重が変動(増加)した場合も肥満の兆候と考えられるため、BCSを目安に肥満かどうかを確認してみましょう。
猫が肥満になる原因
猫が肥満になる原因は生活習慣に関わるものや、避妊・去勢手術によるホルモンバランスの変化・加齢・ストレスなどです。当てはまるものがないかチェックしましょう。
運動不足
室内飼育で寝て過ごすことの多い猫は、運動量が不十分なケースがあり、肥満につながる場合があります。また、足腰が悪くなっている猫やシニア猫の場合、運動がしにくくなるため、肥満のリスクが高まるのが特徴です。
一度太ってしまうと動くことが億劫になり、さらなる運動不足を引き起こすという、悪循環になる可能性もあります。
避妊・去勢手術
猫が避妊・去勢手術を受けると、ホルモンバランスが乱れ、代謝が落ちたり食欲が旺盛になったりするため、太りやすくなることがあります。
メスの場合、食欲を抑制し、脂肪の代謝をサポートするエストロゲンの分泌が減少するのが特徴です。また、オスの場合はテストステロンが減少し、性格が穏やかになって運動量が減ります。
多すぎる食事
必要以上に食事を与え続けると、体内でエネルギーが余ってしまい、肥満の原因になります。とくに1日の摂取カロリーの基準を超えると、太りやすくなるでしょう。また、複数の猫を飼っている場合、同居猫同士で競うように食べてしまい、食べ過ぎになる場合があります。

加齢
猫は年齢とともに、基礎代謝量が下がっていきます。また、活動量が減り、筋肉量が低下するため、肥満のリスクが高まります。
とくに7〜10歳になると、代謝量や運動量が減り、太りやすくなります。一方で、12歳以上になると、それまで肥満だった猫が痩せていくこともあります。この場合、急激な体重減少は体に負担がかかるため、しっかりと様子をチェックしておくことが重要です。
猫が肥満になるとかかりやすくなる病気
猫が肥満になると、さまざまな病気になる可能性が高まります。猫の健康管理を正しく行うためにも、肥満によるリスクを把握しておきましょう。
糖尿病
猫が肥満になると、正常に分泌されていたインスリンへの反応が低下します。インスリンの働きが不十分になると、血糖値が上昇し、以下の症状が起こります。
- 多飲多尿
- 多食
- 尿糖
- 体重減少
治療するためには、食事療法や運動療法、インスリン注射などが必要です。
皮膚病
体重が増えると、毛づくろいをするのが難しくなり、皮膚病を引き起こす場合があります。細菌性皮膚炎や皮膚糸状菌症などが起こった場合には、内服薬を飲んだり、薬用シャンプーを使用して治療しなければなりません。
関節炎
体重が増加すると、足や腰などの関節に負担がかかり、関節炎や椎間板ヘルニアにかかる可能性があります。関節炎になると、キャットタワーなど高いところから降りる際に躊躇したり、段差を一気に降りられなくなったりします。治療するためには、抗炎症鎮痛薬を活用し、痛みを和らげることが必要です。
脂肪肝
猫が肥満になり、肝臓に脂肪が蓄積されていきます。
肥満の猫が突然食欲不振になり、2~3日続くと肝機能が低下し、脂肪をエネルギーに変換できず、肝機能障害を起こす脂肪肝を発症するリスクが高まります。脂肪肝になると起こる主な症状は以下のとおりです。
- 元気がなくなる
- 食欲低下
- 体重減少
- よだれが増える
- 黄疸
治療する場合は、点滴と食事療法が中心であり、栄養補給することが大切です。早期発見し、治療することが重要です。
下部尿路疾患
下部尿路疾患とは、下部尿路(尿道から膀胱まで)に関係する疾患の総称です。猫が下部尿路疾患にかかり結晶や結石が形成されると、頻尿や血尿などの症状が起こる場合があります。
原因としては、体質や遺伝、肥満や飲水量の減少、運動不足、食事などが挙げられます。下部尿路疾患については、以下の記事でも詳しく解説しているため、気になる方はぜひご覧ください。
猫の肥満を予防する方法
猫が肥満になると、さまざまな疾患のリスクが高まり、健康被害を受ける可能性があります。大事な猫の健康を守るためにも、以下の予防法を実践しましょう。
定期的に運動させる
猫は平面的な動きと上下運動を好みます。そのため、部屋から部屋へと移動できるようにしたり、家具の配置を工夫したり、キャットタワーを置くなど、生活環境の改善を行うことが大切です。
一方で、太り気味の猫が激しい運動をすると、心臓や関節に負荷をかける原因になります。猫の体に負担がかかりすぎないよう、無理しない程度で運動させましょう。
猫のダイエットにつながる運動方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
フードを見直す
猫に食事を与えすぎている場合は、食事量を調整することが大切です。年齢に合った食事量にし、脂肪分や脂質、カロリーに配慮したフードに替えてみるなど、フードの種類を見直すことも重要です。
フードの適正量は、商品のパッケージに記載されているため、必ず確認したうえで必要な量を与えましょう。
体重管理を徹底する
体重の増減は見た目だけでははっきりわからない場合があるため、定期的に体重を測定し、記録しておくことが大切です。記録したデータを確認し、体重の増減をチェックしましょう。また、定期的に動物病院で診てもらうことも重要です。

まとめ
猫が肥満かどうか気になった場合は、ボディコンディションスコア(BCS)に照らし合わせてチェックすることが大切です。
猫の肥満の原因としては、運動不足や避妊・去勢手術、食事や加齢・ストレスなどが挙げられます。肥満を放置すると、糖尿病や皮膚病、関節炎や脂肪肝などに発展する場合があります。
大事な猫の健康を守るためにも、普段から定期的に運動させることや体重管理することが大切です。
また、必要に応じてフードの量や種類を見直し、健康管理を徹底しましょう。
